離婚調停の費用はどの程度必要かを分かりやすく解説

離婚をする場合、夫婦間の話し合いで離婚協議がまとまらないときは家庭裁判所で離婚調停をすることになります。この記事では離婚調停の費用を分かりやすく解説します。

この記事を読めば、離婚調停をする場合に裁判所にどのぐらいの費用を払うのか、弁護士に依頼した場合における離婚調停の費用相場等が分かります。
離婚調停を弁護士に依頼したいものの、高額な弁護士費用が必要ではないか不安に思われるかもしれません。この記事を読んで離婚調停に必要な裁判費用や弁護士費用の相場を把握してください。

 

(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

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 離婚調停とは

 

離婚調停とは、夫婦間で離婚協議を行っても話がまとまらない場合に、家庭裁判所で行われる調停手続です。
(参考)調停離婚とは―裁判所で合意を目指す離婚の手順

離婚調停では、離婚するか否かだけではなく、親権者を夫婦どちらにするか、養育費をいくらぐらいにするか、財産分与・慰謝料金額はいくらか等の財産に関する問題も話し合いをすることができます。

離婚調停は、正しくは夫婦関係調整調停と言い、離婚だけでなく、夫婦関係の円満を目指す場合もある手続です。
離婚調停は、裁判官1名と調停委員2名(男女1名ずつ)が担当し、夫婦が交代で調停室で話をする形で進行します。離婚をすることや離婚条件に合意ができれば無事に調停成立ということになります。

 

離婚調停申立ての費用

離婚調停の費用としては、大きく裁判所に支払う費用と弁護士費用があります。

離婚調停は、家庭裁判所という裁判所で行われる手続です。裁判所の手続は高額な費用が必要になると考える人もいるかもしれません。しかし、実際は離婚調停の申立てに必要な費用はさほど高額ではありません。

 必ずかかる費用

離婚調停を申し立てる場合に裁判所に支払わなければならないため必ず生じる費用は以下のとおりとなります。

  • 収入印紙  1200円
  • 連絡用の郵便切手  1000円前後(裁判所によって異なります。)
  • 戸籍謄本の取得費用  450円
  • 裁判所までの交通費

 

離婚調停に係る裁判所の手数料はたった1200円

このうち収入印紙代が離婚調停で裁判所の手続きを利用するための手数料です。収入印紙代は1200円ですので、離婚調停の裁判所に支払う費用はたったの1200円ということになります。

 

予め郵便切手代を払う

また、離婚調停を行うためには相手方に書面を郵送する必要があります。
離婚調停の書面送付のための費用は裁判所ではなく、申立てを行うあなたが支払う必要があります。

もっとも、郵送の度に費用を支払うのは手間なので、離婚調停申立てをする時に予め郵便切手代を支払うことになります。なお、郵便切手の金額や切手の内訳は、裁判所ごとに異なりますので、事前に確認するとスムーズです。

 

自分が支払う費用

さらに離婚調停の申立てには夫婦の戸籍謄本を添付する必要があります。そのため、離婚調停の申立てをするときは、戸籍謄本を取得するための費用もかかります。戸籍謄本の取得費用は450円です。

そのほか、離婚調停を申立てた場合は必ず裁判所に出頭しなければなりませんので、裁判所までの交通費も離婚調停に必要な費用となります。

 

その他の費用

上記以外で費用がかかることもあります。たとえば、離婚調停が長引いて書類送付のために最初に支払った郵便切手が足りなくなってしまった場合には、追加で郵便切手を支払うよう求められることがあります。

また、離婚調停時に年金分割や財産分与なども請求する場合には、それらの請求に必要となる資料も提出しなければなりませんが、そういった資料の取得費用が別途かかると考えておく必要があります。

 

離婚調停の申立ての弁護士費用

離婚を考えている人は、離婚調停の申立てをする前に、法律事務所で弁護士に相談する方も多いでしょう。そして、そのまま離婚調停の申立てについて弁護士に依頼をする人も多いのではないでしょうか。
また、離婚調停の申立てを自分で行おうとと考えている人もできれば弁護士に依頼したいと考えている人も多いでしょう。

調停手続きは自分でもできると考える人もいますが、現実には弁護士に依頼する方が調停を有利に進められます。したがって、できるだけ弁護士に依頼することをおすすめします。

しかし、弁護士に依頼する場合は弁護士費用がかかります。離婚調停の申立ての弁護士費用はどの程度かかるのでしょうか。

 

 離婚調停の申立てを弁護士に依頼するべきか

そもそも離婚調停の申立てを弁護士に依頼するべきでしょうか。弁護士に依頼すれば、調停委員に良い印象を与えたり、後の審判・裁判をスムースに進めることができたりするため、有利な結果を得ることが出来る可能性が高まることがメリットです。他方で、弁護士に依頼すると弁護士費用が発生します。

しかし、離婚は人生の一大事であるため、法律知識がないと養育費・財産分与・慰謝料等で大きく損をしてしまいます。
弁護士費用は数十万~数百万円程度であり高額に思われるかもしれませんが、離婚の時には数百万~数千万円のお金が動くことは良くあります。そうすると弁護士費用を払っても有利な結果を得られるのであれば弁護士に依頼するメリットはあるでしょう。

とくに、比較的裕福な夫婦関係の離婚の場合や、本業で活躍されており離婚手続に手間や時間をかけたくない場合は弁護士に依頼されることをおススメします。
(参考)財産分与の調停を有利に進めるため弁護士は必要か?メリットや弁護士費用を解説

 

 離婚調停にかかる弁護士費用の内訳

弁護士に離婚調停を依頼した場合の費用については、一律に金額が決まっているわけではなく、法律事務所ごと、弁護士ごとに異なります。費用の内訳としては、相談料、着手金、実費、成功報酬に分けることができるでしょう。

法律相談料

弁護士に依頼をする場合は最初に法律相談に行くことが多いと思います。このときに、法律相談料がかかる場合があります(アイシア法律事務所では内容によって無料法律相談をお受けしています。)。法律相談料の目安は1時間1万円程度です。

なお、法律相談だけで手続を進めようとする方もいますが、その場合は必ず同じ弁護士に相談するべきです。弁護士によって処理方針が異なるため、色々な弁護士に話を聞いて混乱した主張を行って大きく損をする方もいるので注意が必要です。

着手金

弁護士に依頼をする場合、最初に支払うのが着手金という弁護士費用です。着手金は案件処理の結果にかかわらず生じる弁護士費用です。着手金の相場は事務所・弁護士によって異なりますが、通常の弁護士事務所であれば30~50万円程度でしょう。なお、20~30万円程度の着手金としている事務所もありますが、事務員を活用して大量に案件処理をしている又は独立当初で安くても案件を受任したい等の事情があるのではないかと思います。

実費・日当

弁護士が離婚調停手続を行うためには、交通費や郵券、書面作成料等の費用がかかります。これは着手金とは別に生じる費用であり実費と呼ばれます。また、弁護士が調停期日に出席するための日当等の費用がかかります。

実費・日当は離婚調停の処理にどの程度の時間がかかるのか、どのような活動を行ったかによって、変わってきます。

成功報酬

成功報酬とは、弁護士が離婚調停手続を行ったため、得られた結果に基づく弁護士費用です。
離婚調停では、単に離婚のみを請求することは少なく、他にも年金分割や親権者の指定、婚姻費用(養育費)、財産分与、慰謝料などを一緒に請求することが多いです。従って、それぞれの項目について得られた結果に応じて成功報酬が生じます。

このうち、離婚と親権者の指定は、離婚調停において、離婚が認められるか、自分が親権者になるか否かで結果が決まるため、弁護士費用も定額となります。離婚が認められた場合及び親権者に指定された場合の成功報酬の相場は30~50万円ぐらいが多いでしょう。

慰謝料と財産分与は、金銭に換算して考えることができますので、実際に獲得した金額を経済的利益とし、経済的利益の10~20パーセントぐらいが相場と考えられます。

また、婚姻費用(離婚成立後は養育費)と年金分割については、金銭で受領するものとなります。
しかし、これらは離婚成立前後から継続的に受け取るものであり、一括で受け取るものではありません。そのため経済的利益をどのように算定するかが問題となります。相場としては獲得した婚姻費用・養育費用の3~7年分の合計額を経済的利益とすることが考えられます。このあたりは離婚調停を依頼する前にどのような弁護士費用が生じるかを確認する必要があります。

 

離婚調停申立ての弁護士費用のまとめ

離婚調停申立ての費用のうち、裁判所に支払う費用はさほど高額ではありません。
しかし、有利に手続きを進めるために、弁護士に離婚調停を依頼する場合は弁護士費用が必要となります。

離婚が成立した場合を考えると、離婚調停申立ての費用として着手金・報酬金・日当等を合計して80~100万円程度は必要だと考えておいた方が良いでしょう。
もっとも多額の慰謝料・財産分与等を得られた場合は、獲得できた金額に応じて費用(報酬金)も増額します。しかし、弁護士に依頼せずに本来得られる金額を損するよりは、弁護士費用を払ってでも、それを上回る財産獲得を目指した方が良いケースが多いでしょう。

なお、アイシア法律事務所における離婚調停の弁護士費用は以下に記載してありますので、参考にしてください。
(参考)離婚・財産分与の弁護士費用

 

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離婚調停を申し立てられた側が必要な費用

これまでは、離婚調停を申し立てる側からの離婚調停にかかる費用を紹介してきました。しかし、自分が離婚調停の申立てをするのではなく、相手方から離婚調停の申立てを受ける場合もあります。
離婚調停を申し立てられた場合はどのぐらい費用がかかるのでしょうか。

 

離婚調停の裁判費用

離婚調停を申立てられた場合、申立てを受けた時点ではとくに裁判所等に費用を支払う必要はありません。

離婚調停を申し立てる側に弁護士がついている場合、調停・裁判になった場合は費用が生じる等と脅されることがあります。しかし、離婚調停を申し立てられても、裁判所に多額の費用を支払う必要はないのでご安心下さい。

 

弁護士に離婚調停の対応を依頼した場合の弁護士費用

他方で、離婚調停の対応を弁護士に依頼すれば弁護士費用が生じます。

相談料

離婚調停の申立てを受けて弁護士に依頼をする場合、まずは、離婚調停の申立書を持参して法律事務所に相談に行きます。
このときに、法律相談料が必要となることがあります(アイシア法律事務所は事案によって無料法律相談も受けております。)。

法律相談料の相場は離婚調停を申し立てられた場合でも1時間1万円程度です。

着手金

また、離婚調停の申立てと同様、弁護士に依頼して最初に着手金を支払う必要があります。事案の内容次第ですが、着手金の相場は30~50万円程度でしょう。

実費・日当

離婚調停が申立てられた事案を弁護士に依頼した場合、弁護士が離婚調停に出席するための交通費、日当、郵便費用等が必要となります。

成功報酬

離婚調停の申立てを受けた場合、離婚調停の結果に応じて弁護士に成功報酬金を支払うことになります。例えば、離婚調停が申立てられたものの離婚が不成立となった場合、慰謝料・財産分与の減額、婚姻費用・養育費の減額に成功した場合などが考えられます。

離婚調停の申立てを受けた場合の成功報酬の算定としては、減額できた金額の10~20パーセントとなります。また、婚姻費用・養育費については、請求されていた額の3~7年分の合計額から、離婚調停の結果として弁護士が減額した金額の合計額の差額が減額できた金額となります。

たとえば、月額8万円の養育費を請求されていたものの、離婚調停の結果として月額6万円に減額できたとします。
この場合、仮に5年間における減額分を経済的利益として、その10%を成功報酬とします。そうすると、養育費が8万円×12か月×5年分=480万円だったのが、6万円×12か月×5年分=360万円に減額できたため、減額金額120万円(480万円-360万円)の10%である12万円が成功報酬となります。

相手が弁護士に依頼した場合

離婚調停は自分でも手続きを行うことができますが、相手が弁護士に依頼した場合、必ず自分も弁護士に依頼しましょう! 片方のみに弁護士がついてる場合、調停委員はどうしても弁護士に依頼している側に有利な手続きの進め方をしがちです。
自分も弁護士に依頼しないと大きく損をするリスクが高いので、是非、弁護士に依頼することをおすすめします。

 

離婚調停の費用のまとめ

離婚調停の費用としては裁判所に支払う費用は意外と低額です。しかし、離婚という人生の一大事を自分だけで解決することは難しいため、多くの方は離婚調停の段階から弁護士に依頼されます。
とくに、比較的裕福な夫婦間の離婚調停は弁護士の腕次第で財産上の結果が大きく変わります。また、本業で活躍されており離婚調停に手間や時間をかけたくない方は弁護士に依頼してスピーディに離婚調停を終わらせた方が良いでしょう。

弁護士に依頼した場合、離婚調停の弁護士費用として80~100万円程度は必要となります。もっとも、多額の慰謝料・財産分与を獲得できた場合は弁護士費用もそれに応じて増額しますが、それを上回る慰謝料・財産分与を獲得できることになります。

離婚調停はまず弁護士に相談して今後の方針・見込みや弁護士費用を確認した上で依頼されると良いでしょう。

離婚調停の申立てをする/申し立てられた場合、弁護士に依頼するときの法律相談・見積りは無料です。弁護士が電話で簡単にお問合せの対応もおおないますので、まずは悩まずお気軽にお問合せください。

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