離婚裁判の期間目安と早く終わらせて有利に離婚するためのポイントを解説

離婚裁判を検討しているものの、どのくらいの期間がかかるのかや、長引いて不利にならないか心配してませんか。ここでは、離婚裁判の平均的な期間や大まかな流れについて解説します。

早く離婚したい方のために、離婚裁判を早く終わらせて有利な条件で離婚するためのポイントも解説しますので最後までお読みください。

(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

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離婚裁判の平均期間:約1年

 

裁判所の統計調査による離婚裁判の平均期間

結論から言えば、裁判所が公表している統計調査で離婚裁判の平均期間は分かります。離婚裁判の訴えが提起されてから判決・和解で事件が終了するまでの期間は11.6か月という裁判所の統計調査があります。

従って、離婚裁判の平均期間は約1年程度と考えておけば良いでしょう。

 

離婚裁判以外にかかる期間が長い

しかし、裁判所の統計調査はあくまで平均期間です。お互いが争わずにすぐに終わるケースもあるため、実質的に争いがあるような事例では1年半から2年程度かかることも少なくありません。

また、離婚裁判を行う前には離婚調停を行う必要があります。これを調停前置主義と言いますが、離婚調停の期間まで含めると離婚の手続全体に必要な期間は2年程度にはなるでしょう。

また、、事実関係が複雑であったり証拠の準備に長くかかったりする場合は、2年以上になることもあります。さらに判決の内容が不服で控訴したような場合は、3年以上かかることも珍しくありません。離婚裁判自体の期間は約1年程度が目安としても、調停や控訴なども含めるとかなりの長丁場だと言えるでしょう。

 

離婚裁判の流れと各手続きに必要な期間について

 

離婚裁判に協議・調停の期間が加わる

そもそも離婚裁判になる前には離婚協議・離婚調停が行われます。協議・調停が長引けば、離婚裁判になるまで長期間が必要です。
(参考)離婚の手順と上手い進め方 弁護士がノウハウを惜しみなく公開

夫婦が離婚する際、双方が同意していれば話し合いで解決します。これを協議離婚といい、離婚した夫婦のほとんどがこのケースです。

しかし、夫婦の一方が離婚を望み、もう一方が拒否していれば、話し合いでは決まらないこともあるでしょう。この場合、家庭裁判所にて離婚調停を行わなければなりません。これは、調停員が個別に夫婦の話を聞いてそれぞれに伝え、離婚話をまとめるというものです。ただし、離婚調停で解決するためにお互いの同意が必要です。どちらかが調停に同意しなければ調停不成立となることがあります。

それでも離婚を望む場合に行うのが離婚裁判です。離婚裁判では、裁判官によって証拠に基づいて判決が下され、夫婦はそれに従う必要があります。つまり、離婚裁判になるケースは、協議・調停で離婚がまとまらない場合です。そもそも長期間揉めてしまった事例が離婚裁判になると言えるでしょう。

 

離婚裁判の流れと必要な期間

離婚裁判は以下のような流れで進みます。

  • 家庭裁判所に訴状を提出して離婚訴訟を提起する
  • 適用な訴えと認められると約1か月後に第1回口頭弁論期日が指定される
  • 第1回口頭弁論期日において訴えられた方が最初に答弁書を提出する
  • その後、月に1度の頻度で審理が繰り返される
  • 最終的に判決が下される
  • 判決に不満があれば控訴する

まずは、家庭裁判所に訴状を提出することが必要です。訴状には、原告・被告を記載し、離婚を希望する旨や慰謝料等の請求を行います。また請求が認められる理由として、離婚を望む原因なども記載します。

適法な訴えと認められれば、裁判所から第1回目の口頭弁論の日程を決める連絡が届きます。第1回口頭弁論は約1か月後に設定されることが多いでしょう。第1回口頭弁論では被告から答弁書が提出されます。

実質的に争いがある事案では。2回目以降も月に1回のペースで口頭弁論が行われ、これが1年ほど続くでしょう。その途中で、裁判官から離婚条件に関して和解を提案されることもあります。これは、受けても受けなくても構いません。審理では争点の整理や証拠の確認が進められて、十分審理された段階で裁判官が判決を下します。もしも、下された判決の内容に不服があるようであれば、2週間以内に控訴しましょう。控訴する場合は家庭裁判所に控訴状を提出します。

 

離婚裁判の期間が長引くケース

離婚裁判の流れにおいて、離婚裁判の期間は「どれぐらい審理が必要か?」で決まります。従って、離婚裁判の期間が長引くのは裁判官が判断するのが難しく、十分な審理が必要なケースです。具体的には以下のような場合には離婚裁判の期間が長引くでしょう。

 

争点が多数にわたるため離婚裁判の期間が長引く場合

離婚をするときは様々なことを決める必要があります。具体的には、離婚できるかどうか、離婚と子どもの問題として親権・養育費・面会交流について、離婚とお金の問題として財産分与・慰謝料・年金分割・婚姻費用について等があります。
(参考)離婚したいなら考えるべき3つの視点×8つのポイント

離婚裁判では「単に離婚するかどうか」だけが争われるわけではありません。当然ですが様々な争点について裁判で審理が必要であれば離婚裁判の期間は長引きます。

 

離婚原因が決定的でないため離婚裁判の期間が長引く場合

離婚原因は様々なものがあります。たとえば、どちらかの不貞行為があるとか、お互いの性格の不一致などです。このうち性格の不一致など離婚原因が決定的でないときは離婚裁判の期間が長引くことになります。
(参考)離婚理由について

 

不貞行為を離婚理由とするときに裁判期間を短くするためのポイント

また、離婚原因の証拠が決定的でないケースもあります。たとえば、夫の不貞行為が原因で離婚を希望しており、夫が事実を認めずに離婚を拒否しているとしましょう。この場合は夫が他の女性と「メールでやりとりをしていた」、「ひんぱんにデートしている」だけでは、離婚原因として不貞行為になりません。なぜなら、不貞行為は「配偶者以外の相手と性的な関係を持っている」ことを言うからです。

他の女性とのデートを伺わせるメール・LINEのやり取りがあって肉体関係を持っていると推測できても証拠が不十分と争われると離婚裁判は長引きます。これに対し、「性的な行為をしている写真や動画がある」、「不貞行為を認める相手の発言を録音した音声データがある」など、明瞭な証拠が揃っていれば離婚裁判の期間を短縮できるしょう。

 

DVを離婚理由とするときに裁判期間を短くするためのポイント

DVが離婚を望む原因のときには「被害状況を克明に記した日記」や「暴言・暴行の様子を収めた動画や音声データ」「DV被害で受診した際の診断書」などが証拠になります。とくに暴行の様子が録音・録画されており、DVによるけがの診断書があれば離婚裁判の期間を短縮できるでしょう。

 

そもそも離婚原因自体に長期間が必要な場合

また離婚裁判の期間自体ではありませんが、離婚原因と認められるために長期間が必要なケースもあります。つまり、結婚生活を修復するのが不可能なぐらい長期間の別居があれば、法的に離婚が認められる「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当します。

長期間にわたって別々に生活することで「夫婦関係がすでに破綻し、関係の修復は困難である」と客観的にみなされるためです。ただし、数か月程度の別居では認められません。離婚するために必要な別居期間は、通常5~10年ほどは必要です。

また、原則として不倫などの離婚原因を作った有責配偶者側が離婚を申し立てても認められることはありませんが、別居期間が長いと認められることがあります。これは「夫婦関係が修復する見込みがどう考慮しても皆無である」とみなされるためです。ただし、その場合は10~20年程度の別居期間が必要です。

このように離婚をするために別居期間が長期間続く必要がある場合があります。別居期間が十分かは離婚裁判が終了する時点で判断されます。そのため、離婚手続きを起こしたときには十分な別居期間ではないものの、離婚協議・離婚調停・離婚裁判が長期間に渡るため離婚裁判終了時には十分な別居期間があることを見越して手続きを行うこともあります。このような場合は、離婚裁判にある程度の期間が必要なことを踏まえて、計画的に別居期間を稼いで離婚するための戦略と言えるでしょう。

 

離婚裁判の期間を短くして早めに終わらせる方法

離婚協議・離婚調停で合意できた点を確認しておく

離婚協議・離婚調停において「条件次第なら離婚する」と思っているのに、うまく条件がまとまらず離婚裁判になる場合も少なくありません。このような場合、離婚裁判で離婚するかどうかやお金・子どもの問題までを再度争うことになれば長引きます。

離婚をすることを前提に子どもの親権・養育費は合意できたものの、離婚慰謝料の金額を巡って協議・調停がまとまらなかった場合、お互いに「裁判で適正な慰謝料の金額を決めて貰おう」という意識があればその他の点は裁判で争う必要はないかもしれません。

離婚裁判を短期間で終わらせるためには、離婚協議・離婚調停で合意できた点は確認しておいて離婚裁判では必要最小限な点に絞って争うことができるのがベストと言えるでしょう。

 

効率的に手続きを進めるために離婚に強い弁護士に依頼する

離婚裁判では様々な点について離婚条件を決める必要があります。離婚手続きに慣れていないと「相場」が分からず混乱してしまい、離婚裁判が長期化する原因となります。離婚に強い弁護士に依頼すれば、離婚裁判を効率的に進めることでき短期間で終わらせることができるしょう。
(参考)離婚問題で弁護士を選ぶ方法について

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和解による終了を目指す

離婚裁判が泥沼化して異様に長引く場合として、お互いが判決に不服であり上訴をしたり又は紛争を蒸し返すようなことがあります。離婚裁判で判決が出ても、不利な判決に納得できない相手が判決に従わなければ無駄な手続きが必要になります。

このような泥沼化を防ぐために積極的に和解することもおすすめです。和解はお互いが譲歩するものであり、完全に自分の要望通りでないことに不満があるかもしれません。しかし、多少譲歩することで、相手がすんなり従ってくれて得することも少なくありません。

和解で離婚裁判が終了すれば上訴により長期間になることを防ぐことができます。また、一般論としては、裁判官から結論を押し付けられる判決に比べて、お互いが納得して合意した和解は当事者がきちんと義務を履行すると言われています。

たとえば、夫側が払えない高額な養育費の判決を貰っても、夫が任意に支払いをしなければ養育費回収のために強制執行をしたり又は現実には一円も貰えない事態になることもあります。それなら、夫側が納得して払ってくれる金額で和解して、きちんと毎月養育費を貰う方がかえって得なことも少なくないのです。

 

離婚裁判が長期化すると経済的に厳し場合について

専業主婦などで離婚裁判が長期化すると困るときの対応

先に述べたように離婚裁判には長期間が必要です。離婚裁判自体が早くても1年程度であり、親権・慰謝料・財産分与など複数の点で争ったり事実関係を確認する証拠が不十分であったりすれば、判決までに2年以上かかることもあるでしょう。

離婚協議・離婚調停の期間も含めれば、非常に長い期間争い続けることになります。また、離婚裁判を弁護士に依頼すれば着手金・日当・実費などの弁護士費用もかかります。

専業主婦などで経済的に厳しい場合には、とくに少しでも早く離婚裁判を終わらせたいと思うでしょう。このような場合には、まずは婚姻費用分担請求も行うことがポイントです。婚姻費用とは、通常の生活を維持するためにかかる生活費のことで、マンションの家賃や子どもの生活費なども含まれます。
(参考)別居中の生活費について相場や請求方法を解説

一般的に養育費よりも婚姻費用の方が高額であるため、まずは毎月婚姻費用を貰うことができれば離婚後と同程度の生活が期待できるでしょう。

 

早期に婚姻費用を決めることで離婚裁判自体が早期に終了できることもある

また、早期に婚姻費用を決めることで、離婚裁判自体を早めに終わらせる効果も期待できます。

相手が離婚を拒否しても、最終的に別居期間が長引けば離婚することになります。また、離婚前に支払う婚姻費用に比べて、離婚後に支払う養育費は低額です。高額な婚姻費用を負担し続ける相手としては、どうせ離婚することになるなら早期に手続きを行いたいと思うようになります。このように、とくに婚姻費用を貰う側にとっては婚姻費用を早期に決めることが離婚裁判を短期間で終わらせるためのポイントと言えるでしょう。

 

まとめ:離婚裁判の期間は1年が目安だが、裁判以外に長引くこともあるので注意

裁判所の統計調査によれば、離婚裁判自体は約1年程度が平均期間と言えます。しかし、これには争いがないため早期に終了したケースもあるため、実質的には裁判期間は1年半から2年程度かかると考えておきましょう。

また、離婚裁判をする前には離婚協議・離婚調停を通常行います。手続き全体では2年~3年程度かかることも少なくありません。

離婚裁判を早期に終了させるためには争点を整理して、十分な証拠を揃えることがポイントです。必要に応じて離婚に強い弁護士に依頼しましょう。また、早めに婚姻費用の請求をすることもポイントになります。婚姻費用を貰えれば離婚裁判が長引くことによる経済的な不安がなくなりますし、婚姻費用の負担がプレッシャーにあり離婚裁判が早期に終わることも期待できます。

離婚裁判を検討しているのであれば、まずは自分の事案で問題になる点や見通しについて離婚に強い弁護士に相談することをおすすめします。

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